数日後、我々のもとにSさんから連絡が入った。B社への入社を辞退したいと言う。話を聞いた我々は、Sさんの思いを理解しつつもこう言った。「B社の社長には我々から伝えます。ただ、社長はあなたに本当に惚れ込んでいました。面談の場を設定しますので、一度Sさんからも直接お話した方がいいのではないか、と思うのですが……」快く了承したSさんは、後日B社社長のもとを訪れた。入社できないことへのお詫びとともに、その理由を丁寧に説明したSさんに対し、黙って話を聞いていた社長はこう言った。
[参考]
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「残念だけど、しょうがないね。でもこれだけは忘れないで欲しい。A社でやるべきことを成し遂げた後、これから悩むようなことがあれば、いつでも言って欲しい。僕は待っているから」Sさんは涙をこらえるのに必死だったという。自分の仕事を認められたくて転職活動をはじめたSさんは、結局は転職しなかった。しかし、転職活動というプロセスの中で、自分のことを本気で認めてくれるふたりの人に出会えたことになる。転職は手段であって、目的ではない。Sさんはじゅうぶんに満足していた。転職してもしなくても、人生は続く。これからも、続く。